ハンドメイド作品の撮影術~初心者のための白や透明な作品と大きな作品の撮り方~
今までハンドメイド作品の写真の撮り方について色々お話してきましたが、今回は初心者さんが困りやすい場面、注意したい作品撮影についてお話していきます。
まずは、【白や透明の作品】についてです。
白や透明の作品を撮影すると、作品が真っ白になってしまったり、作品の明るさに合わせて写真を撮ると背景が暗くなってしまうという悩みをよく伺います。
この場合色々な対処法がありますが、今回は大きく二つの方法をご紹介します。
①光の強さを確認
作品の写真撮影において、光の強さが強すぎると背景が明るくなりすぎることで、カメラ側が丁度いい明るさに調整しようとした結果、作品が白飛びしてしまうことがあります。
また、白い背景が暗くなってしまう原因も、同様に過剰な光が被写体に当たり、カメラ側が全体を暗くしようとしているためです。
そのため一度光の強さを確認してみましょう。
・自然光の場合
自然光の場合は、明るさを確保するために窓の近くで撮影している方が多いかと思いますが、その場合レースのカーテンをして光の量を調整しましょう。
もしくは、窓から距離を取って、少し明るさを和らげることをお勧めします。
・照明を使う場合
ライトを使っている場合はライトとの距離を離すようにしましょう。
もしくは、ライトとの間にディフューザーを挟みましょう。
ディフューザーは光をやわらかくするために使用されるものです。専用のものもありますが、家庭では薄い紙などでも代用できます。
ディフューザーを使用することで、光をやわらかくして、被写体に自然な陰影を作り出すことができます。
ディフューザーを紙などで代用する場合、ライトの熱での発火には十分に気を付けてください。
②背景色を変える
あとは思い切って背景色を変えるのも有効です。
白い背景はシンプルでおすすめではありますが、白自体が光を多く反射する明るい色であることと、白や透明の作品を撮影する場合作品と色味が似通っているため、先程お話した白飛びや背景が暗くなる問題が起きやすいです。
そこで、背景色を白以外の色に変えることで、光の反射を抑えることができ、簡単に問題を解消させることができます。
たとえば、グレーや茶色の背景色を使用することで、白飛びを防ぐことができます。またそうした色を使用することで、被写体の白さを引き立たせることもできます。
写真①白背景での撮影(作品が白飛びしてしまっている) ②背景色を変えた例


このように背景色を変えることで、被写体のディティールをより分かりやすく撮影することができます。
背景については、構図についてのお話の中でも少し話しましたが、作品に合わせて背景色を変えることも作品の印象を変えることができるので、是非自分の作品に合った背景を選んでみてください。
【大きな作品の撮影】
続いて注意するべき作品撮影として、大きな作品についても触れていきます。
今まで説明してきた撮影方法は主に室内での撮影についてですが、自分の作品は大きすぎて室内での撮影をどのようにしたらいいのか分からない、難しいという場合もあると思います。
バッグや、洋服などの大きなものの撮影をする場合もライティングや加工等に関しての基本は今までお話した内容と同じですが、大きい分セッティングが難しいと思います。
室内で撮る場合、何もない壁を背景にするといいですが、もしそうした空間がない場合、
カーテンやベニヤ板等を使用して、画面内に生活感のあるものが写りこまないような配慮が必要です。
あくまで生活感や、作品のイメージと離れたものさえ写らなければ問題がないので、お部屋のインテリアが作品イメージと合う場合はあえてインテリアを写しこむように撮るのも魅力的だと思います。

室内で撮影した例(部屋のインテリアをあえて写している)
また、思い切って屋外で撮影するのもおすすめです。
屋外で撮影する場合の注意点としては、
・ごちゃごちゃしすぎない場所を選ぶ
・直射日光を避ける
といった点があります。
ごちゃごちゃしすぎないというのは今までお話していた室内撮影での注意点と同じで、作品を目立たせるためです。同じ公園でも、木々の緑を背景に選ぶのとカラフルな遊具の前で撮影したものでは、緑を背景にした方が作品に目が行くでしょう。

屋外で撮影した例(シンプルな背景を選んで撮影)
また直射日光が強すぎると、影が濃くなり作品が暗く見えてしまったり、作品のディティールが分かりにくくなってしまいます。
曇りの日や、朝の柔らかい光の中で撮る、または、東屋や木陰などの直射日光になりづらい場所での撮影がおすすめです。

東屋で撮影した例
公園などで撮る場合、ベンチなどサイズ感の分かるものと一緒に撮ると、作品のサイズ感も伝わりやすいので、そうしたものを利用してみるのもお客様には親切かもしれません。
以上のように少し難しいなと思う作品でも、少しの工夫で素敵に写真が撮れるようになりますので、是非皆様も試してみてください。
PERSON

中学時代から写真撮影の魅力に夢中になり、日本大学芸術学部写真学科を卒業後、カメラマンとしての道を歩む。撮影の他にも、広告デザインなどにも関わりながら、趣味でハンドメイド作品を制作・購入し、その中でハンドメイド作品の販売において写真の重要性を感じていた。ハンドメイド作家の方々より、撮影を頼める場所がないという悩みを聞いたことを切欠に、手軽に利用できる撮影代行サービスを提供することを決意し、「LinnieStudio(リニースタジオ)」をスタート。ハンドメイド作品の魅力を引き出す写真としてクリエイターの方々が自分の作品を効果的に発信できるお手伝いをしている。