世界のとんぼ玉まとめ
とてもカラフルで工芸品級の芸術性を持つ、ガラス製のビーズ「とんぼ玉」。穴が開いているものは様々なアクセサリーに使われ、ネックレスやかんざしなどに加工する人も多いです。とんぼ玉は全て職人による手作業で作られ、手作りならではの風合いが美しく、職人の技量やセンスによって様々な個性が生まれます。ですので、とんぼ玉には2つとして同じものはありません。球体関節人形などに使われるガラス製の目玉のパーツも、とんぼ玉の技法で作られているものが、クオリティの高さから、よく採用されています。
とんぼ玉の歴史は古く、メソポタミヤやエジプトなどで3,500年ほど前から装飾品として作られていたとされ(ガラスが発明されてすぐの時代)、日本でも古墳時代にエジプトから輸入されたと考えられ、奈良時代には日本でも生産されていたと言われています。
英語で言うと「グラスビーズ」「アイビーズ」「Japanese Lamp Beads」などと呼ばれていますが、日本では何故「とんぼ玉」と呼ばれているのでしょうか。この名称については、「たくさんの小花のような丸い模様のついた玉の模様が、トンボの複眼に似ている」ことから来ているようです。
そんな歴史あるとんぼ玉は、現在でも世界中で生産されています。今回は、そんな世界のとんぼ玉を何か国か見ていきたいと思います。
日本
日本で作られているとんぼ玉には、大阪府和泉市の「佐竹ガラス」や「井阪硝子」、堺市の「山月公房」、兵庫県丹波篠山市の「喜南鈴硝子(きなりがらす)」、北海道小樽市に10軒以上立ち並ぶガラス工房(大手で言うと「北一硝子」「大正硝子館」など)、沖縄県の「琉球ガラス(ほたるガラス)」など、様々なものがあります。
中でも「山月工房」で作られているとんぼ玉は他とは一味違い、「和泉蜻蛉玉」呼ばれています。和泉蜻蛉玉とは、奈良時代以前より、現在の大阪府堺市(かつての和泉国)でのみ製作されてきたとんぼ玉(ガラス玉)の歴史を正当に継承した技術・技法・材料で製作されたとんぼ玉。とんぼ玉と和泉蜻蛉玉の違いは、通常のとんぼ玉では材料となるガラス棒を1本、ガスバーナーで熱して溶かし作るのに対し、和泉蜻蛉玉は数本のガラス棒を束にして、代々使用している専用のバーナーで熱し、形・大きさなどを制作します。和泉蜻蛉玉は現在、山月工房の伝統工芸士・松田有利子さんによってのみつくられ、1000年以上続く歴史を今も継承しています。
他に有名なとんぼ玉作家には、琉球王国の陶工・平田典通や、現代で言うと小暮紀一さん、田上恵美子さんなどがいます。
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台湾
台湾南部の山岳地帯を中心に居住している、台湾の先住民族・パイワン族。彼らもとんぼ玉を伝統的に受け継いでおり、とんぼ玉はパイワン族の三種の神器の一つでもあります。特にトンボ玉のネックレスは、結婚の結納品として用いられるほど大切なもの。それには様々なデザインのトンボ玉がつなぎ合わされ使われ、その一つ一つの玉に名前があり、それぞれに伝説が込められていました。そのため彼らの間では、トンボ玉を所持することで、願いや祈りが叶うと信じられています。
パイワン族にとってトンボ玉は彼らのルーツで、誇りの象徴そのもの。現代のパイワン族は、伝統的なトンボ玉模様を継承しつつ、アレンジや新デザインも入れて製作しています。その中でも、熟練の先住民族工芸家の作ったトンボ玉で製作したアクセサリーを「Ryuree(リューリー)」と呼んでいます。
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イタリア
イタリアには「Millefiori(ミルフィオリ)」と呼ばれるとんぼ玉があります。イタリア語で「千の(Mille)花(fiori)」という意味があるように、千の花々が咲き乱れたような美しいモザイク模様になっています。作られた年代は1800年代後期~1900年代初期、原産地はヴェネチアです。モザイク技法自体が成立したのは、紀元前5世紀のローマ帝国と、かなり昔になっています。ミルフィオリの種類は色・形・モチーフともに様々で、数千種類に上ると言われています。
ミルフィオリのメーカーには、1910年に創設されたモレッティー社や、ヴァッカーリ社などがあります。モレッティー社のミルフィオリは、大量生産されたアフリカ交易用のミルフィオリとは一味違った、ワンランク上の雰囲気をまとい、多様なデザインと光沢でヨーロッパ中に人気が出ました。
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エジプト
とんぼ玉の発祥地の一つとして知られるエジプト。そんなエジプトには古代ビーズとして「人面トンボ玉」というものがあります。古代ギリシャのヘレニズム文化の影響を受けつつ、緻密で美しい人面のモザイクガラスを貼り付けた工芸品です。エジプトのアレキサンドリアや、シリアを中心として多く製造され、ローマ帝国の発展と共に各地域へ流通しました。
オランダ
イタリアのヴェネツィアなどでも作られていましたが、オランダには古い単色のとんぼ玉があります。単色ながら独特の色合いで魅力に溢れ、様々な表情を見せてくれます。 特に、製作時に気泡が穴となって表面にところどころ残ったものを、江戸時代には「虫の巣玉」と呼び珍重したとの記録も。 日本人にとってもなじみ深いとんぼ玉です。
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まとめ
とんぼ玉は遠い昔に生まれ、今も世界各地で製造され、種類もここでは紹介しきれないほど多様なものがあります。ハンドメイドの材料として活用するのはもちろん、美しいと思うものをコレクションしたり、制作体験をしてみるのも楽しいかもしれません。ぜび、とんぼ玉の奥深い魅力を、この記事を機に知っていただければと思います。
PERSON
ある・みるライター目玉屋プチプラで様々なハンドメイドをするのが好きなアラサー女子。ゴスロリ服の縫製にハマっている