和紙がつなぐ心と縁 レビュー『わ紙とわたし~和紙がつないだ生きる場所~』
目次
- 1.和紙との出会い
- 2.和紙がつないでくれたもの
- 3.作風に訪れた変化
- 4.さいごに
悲しい体験をした時や苦境に立った時。人はものづくりに救われることがある。
今回は、ある苦しい体験を経て和紙と出会い、居場所を見つけた和紙作家の竹山美紀さんを描いたドキュメンタリー作品をご紹介いたします。
和紙との出会い

東京で育った美紀さんは、結婚を機に高知県高岡郡越智町へ同じく和紙作家である夫の与志彰(よしあき)さんとともに移住。ふたりがそれぞれ制作した和紙を使った作品が並ぶ雑貨店を営んでいます。絵葉書やアート作品、アクセサリー、ルームランプなどのインテリアアイテムが並ぶ店舗は歴史ある薬局の店舗を活用し、趣深い雰囲気です。
美紀さんは学生時代にひどい起立性調節障害に悩んでいて高校の出席日数もギリギリでの卒業でした。しかし25歳で難関である東京藝術大学へ合格。油絵を先行して意欲的に制作に取り組んでいましたが、その矢先に油絵具のアレルギーを発症してしまいます。油絵に代わる様々な手法や画材を試しましたがどれもしっくりきません。画材としての和紙と出会ったのは、そんな思い悩んでた時期でした。
和紙との出会いにより再び創作の道が拓けた美紀さんは、国内の和紙の産地での研修を経て和紙作家の道を歩きはじめます───
高知放送制作/2024年1月20日 テレビ朝日放送
和紙がつないでくれたもの
和紙がつないでくれたのは美紀さんの作家としての道だけではありません。越智町へ移住して作家としての創作活動や雑貨店を営んでいく中で様々な人との縁もつないでくれました。作品に使用する和紙を作る職人や雑貨店に並べるアクセサリーなどの制作を担うスタッフ、東京藝大で培った技術を活かして開いた絵画教室の生徒さん……同じ地域に暮らす人々とのつながりは、やがて美紀さんの居場所を紡いでくれました。長い間商店街に佇んでいた薬局の店舗のように、今ではふたりや雑貨店が地域に馴染み親しまれています。
それは人とのつながりを大切にしている美紀さんと与志彰さんご夫婦の人柄や、暮らしている地域を周囲と一緒に盛り立てようとする姿勢によるものでもある。「和紙に救われました」と語る美紀さんの笑顔はあたたかく柔らかく、今の活動拠点である越智町こそが彼女の大切な居場所になりました。
作風に訪れた変化

越智町で暮らすようになって、美紀さんの作風にも変化が訪れます。和紙作品を作り始めた当初、和紙そのものの質感や繊細な色合いにフォーカスしあえて無彩の作品を制作していましたが、暮らしていると次第に作る作品に色が入るようになったのです。
和紙にオイルパステルで描く彩色豊かな花々。いきいきと作品を描く美紀さんは、自らの作品展に挑戦します。越智町で暮らしたからこそ変化した作風で、今まで描いたことのない大きなサイズの和紙のキャンバスにパステルアートで描く新たな試みです。番組後半では更に、地域に根差したある施策に挑みます。どんどん新たなことにチャレンジする姿からは、作風の変化だけではなく彼女自身にもいい変化をもたらしているように感じます。
さいごに
『わ紙とわたし~和紙がつないだ生きる場所~』は、ある・みるメディアでもほとんど扱ってこなかった和紙を題材にした作品と、その作家や制作の様子に密着したドキュメンタリー作品です。
筆者はAmazonPrimeにて鑑賞いたしました。
作品と作家、そして周囲の人々とをつなぐ和紙。美しい作品と制作風景も見どころです。ぜひチェックしてみてください。

