おうちが好き!なあなたに コミックレビュー『家が好きな人』
目次
雨の季節や暑さの厳しい時期、どうしても在宅している時間が長くなるもの。ハンドメイドを愛する方は特に、作品の制作などでもおうち時間がメインになるかと思います。
今回はおうち時間を豊かにするインテリアやすごし方を集めたフルカラーコミック、『家が好きな人』を紹介いたします。
あらすじ
日々の暮らしの中でほっと落ち着く、自宅でのリラックスタイム。ツイてなかった日も、良いことがあった日もそっと包み込んでくれる、5軒のおうちを舞台にイラストレーターの井田千秋が描いたオムニバスコミック。ササさん、カエさん、ナナコさん、ミドリさん、アキラさんの5人の家主がそれぞれ大切にしている“好き”や、暮らしのあれこれがぎゅぎゅっと5軒分詰まった1冊です。『家が好きな人』井田 千秋著(実業之日本社/2023)
“おうち時間”が詰まった“わたしの家”

コミックスのあとがきは、「不動産屋のチラシの間取り図に、家具を描き入れて遊ぶ子供でした。」と、作者の井田さんの子ども時代の様子からはじまります。このかき出しの一文を読んで、だからこの作品はこんなにもワクワクするのだと納得しました。
5人の登場人物の穏やかな暮らしぶりには、必ず間取りや家具の配置図が添えられています。そして「この部屋の住人」として、その部屋に暮らす人がどんな人なのかも。この作品の主役はあくまで“家”なのです。本全体が作品として、その家で家主がどんな風に暮らして、どんな風にすごしているのかを間取りやインテリア、おうちごはんを通じて読み取れるようなギミックになっています。
たとえば1軒目の家に暮らすササさん。
彼女は食べることが大好きで賑やかな柄・色合いの食器が好き。だから食器や食事が映えるようにテーブルの色は白だし、キッチンやその周りのスペースに置かれたものからは小まめに料理をしていることがわかる。ひとり掛けのソファを読書スペースにしているから、「サイドテーブルが欲しいななんて考えている」と、部屋に今「足りていない物」まで描かれているところもリアリティがあって。本当にその部屋にササさんが住んでいるのだなと感じさせる。そんな風にあと4軒、色とりどりなのにどこか落ち着く色合いをしたカラー作品で読めるのだから、なんだか贅沢な気分にさせてくれる作品です。
おうちが好きなあなたへ

作者の井田さんと同じく、筆者も間取りを見るのが好きなタイプの人間。なかなかインテリアにこだわることは出来ていないけれど、暮らしやすくするために収納などは自分なりに工夫をくり返していて、それが楽しいとも感じています。
5軒とも、「この家のここ、良いなぁ!」と羨ましくなったり、ひとり暮らしをはじめた頃に憧れたなぁ……と懐かしい気持ちにかられるような、とても素敵な部屋ばかり。思わず模様替えがしたくなってしまい、つい本を一度伏せ置いて、通販サイトで家具などを見てしまったほどです。実は部屋のあの辺、もう少し素敵にしたいんだよなぁ、なんて。
なので同じように間取りを見るのが好きであったり、暮らしのなかでインテリアに自分の“好き”を取り入れて楽しむことが出来る人には、本当におすすめしたい作品です。
さいごに
ハンドメイドを愛する方は、自分の“好き”を形にしたり、そうすることを楽しむことが出来る方々だと考えています。なのでお家の中に“好き”を詰め込んだこの作品も、きっと楽しんでいただけるのではと考え、今回選書させていただきました。
冒頭で書かせていただいた通り、在宅時間が増えがちな時期にもおすすめなので気になった方はぜひチェックしてみていただきたいと思います。