「悔しさが報われたグランプリ受賞」 ジッパーアーティスト Rioインタビュー
前回に引き続きジッパーアーティストのRioさんにお話を伺っていきます。
ファスナーの製造販売大手、YKK主催のワークショップがきっかけで、ジッパーアーティストの道を歩み始めたRioさん。活動をはじめて数年の間、苦労をすることも多かったとのこと……

制作しているアクセサリーの主たる素材がファスナーというだけで、作品を軽んじられることがあったそう。
「だってファスナーでしょ?」と100円均一などで販売されている未加工のファスナーと比べられたりして、作品の価値を下に見るような扱いもあった。時には、販売イベントに出店参加している最中に面と向かって、「ファスナーなんかで作ったアクセサリーなんて、自分で着けたいと思わないよ」と、心無い言葉を投げつけられたこともありました。
そのショックは大きく、「私のやっていることは受け入れられないのかな。」と落ち込まずにはいられなかった。
当時ジッパーアートのワークショップを開いても、誰も来ないという状況もあり、それらが重なってしまったことで、活動自体をもう辞めてしまおうかと何度も考えた。それでも続けてこられたのは、「辞めたくない」というたしかな思いがRioさんの中にあったからでした。「辞めようか」と「辞めたくない」の間を、何度も何度も行ったり来たりしながら制作に打ち込む、とても悔しい時期を過ごしていました。
そんな時、悔しい現状を打破してくれる事が起きました。
スワロフスキー社主催の、スワロフスキークリエイト・ユア・スタイル・デザインコンテスト2017。このコンテストのデイリーアクセサリー部門で、Rioさんの作品がグランプリを受賞。これまでの悔しい思いが報われた瞬間でした。
コンテストには例年、豪華にデコレーションされた作品が並ぶことが多く、作品の煌びやかさも評価の基準の一つ。例年通りのふんだんにスワロフスキーをあしらった作品が並ぶ中、Rioさんがエントリーした作品はとてもシンプルなデザインでした。あえて使用するスワロフスキーの数を少なくすることで、スワロフスキーの持つ美しさを際立たせたデザインでした。このシンプルで洗練された作品は、例年とは別の角度から審査員に衝撃を与えたのです。
受賞だけではありません。
「こんなに少ないスワロフスキーの数で、スワロフスキーが美しく見えるなんて!」
「スワロフスキーの新しい可能性を見せてもらいました。」
審査員からおくられた言葉の数々は、当時抱えていた葛藤や悩みから救い、背中を押してくれるものでした。これまで上手くいかない場面も多かったけれど、ジッパーアートを続けていくことで、もっと自分の可能性も開けていくかもしれない。当時のコメントは今でもRioさんの心に色濃く残っているとのことです。
これまで自分で道を切り拓き、苦労しながらも進んできたからこその受賞に、
「(やめなくて)よかったです。やっぱり続けてよかったと思います。」
とRioさん。

Rioさんの今後の展望はふたつ。
ひとつ目は、昨年から試みはじめている廃材や端材とのコラボレーション。
縁あって出会った伝統工芸である会津木綿の端材や、ファスナーと素材の親和性が高い金属製のナットやボルトの廃材と組み合わせた作品の制作。廃材や端材を使用する“アップサイクル”としてのアクセサリー制作を本格的に展開していきたい。
もうひとつは海外進出。実は今、海外ユーザーに向けたECサイトに、作品を掲載出来るという話がまとまったところなのだとか。今後は日本だけでなく、海外の方にもジッパーやファスナーの魅力を伝えることにもチャレンジしていくそうです。
660種類もの色数に、エレメントと呼ばれるファスナーの歯の部分の組み合わせも組み合わせは数百。聞けば聞くほどファスナーの世界は奥深いものでした。デザインも色も、幅広い可能性の中から、身に着けるひとりひとりに合った、身につける人が本当に好きになれるようなアクセサリーをジップアートで表現していきます。
「身につけていると自信が持てて、元気づけられるお守りのような作品を制作していきます」と語るRioさんのジッパーアート、興味を持たれた方はぜひ公式WEBページをご覧ください。
あなただけのアクセサリーが、きっと見つかるはずです。
https://romanceinzip.thebase.in/