夏の風物詩 夜空に輝く花火の歴史
浴衣や和小物の柄としても古くから愛されてきた夏の風物詩の「花火」。コロナ禍で中止が相次いだ花火大会も今年から再開する自治体が増えてきているそうです。
今回はそんな花火の歴史を紹介いたします。作品のモチーフに使用される方も良かったらお付き合いください。
花火のはじまり
花火自体の歴史は更に古く、紀元前まで遡ります。
花火の原型は狼煙(のろし)。古代インドやローマ、ギリシア、秦の始皇帝の時代の中国でも情報を伝える手段として用いられていました。花火のはじまりは今のように見て楽しむものではなかったのです。情報を伝える狼煙は火薬を用いた武器になり、やがて14世紀頃にイタリアのフィレンツェで祝い事の席祝砲にも使われるように。王侯貴族の間で結婚式や戴冠式といった花火を打ち上げることが広がりました。
日本での歴史
日本では江戸時代に花火の鑑賞がはじまったとされています。それまでは日本でも狼煙などの見て楽しむ以外の用途として用いられてきました。花火の鑑賞については、1500年代の終わりから1600年代のはじまり頃。伊達政宗や徳川家康が花火の鑑賞を楽しんだという記録や、ポルトガルからの宣教師が花火を打ち上げ周囲を驚かせた、なんて話が残っています。泰平の世の中で鑑賞用花火は多くの花火職人によって現代の花火の形へと変わっていきました。
秋田県大仙市の「大曲の花火」、茨城県土浦市の「土浦の花火」、新潟県長岡市「長岡まつり大花火大会」日本三大花火をはじめとした日本における花火大会のはじまりは諸説あります。そのひとつは1700年代、全国で飢饉が起こり江戸では伝染病まで大流行した際、徳川吉宗が飢饉や伝染病の犠牲者の供養の為に「水神祭」を執り行いました。その時に花火を上げたことが花火大会のルーツといわれています。
花火のデザイン
さいごはモチーフに用いる際に役立てたい花火のデザインについて。ハートやキャラクターなどの柄を模した平面のデザインでない限り、花火は球体の花火玉から星、と呼ばれる火薬の塊が飛び出すことから360度どこから見ても同じ形をしてます。
打ち上げ花火は大きく分けて「割物(わりもの)」「半割物(はんわりもの)」「ぽか物」の3種類にわけられます。
割物は割り薬を爆発させることで、色や煙を出す星を飛び出す仕組み。半割物は花火玉の中に小さな花火玉がたくさん入っており、同時にいくつもの花火を開かせることができます。ぽか物は、打ち上げた花火玉がぽかっと開き、仕掛けや星が飛び出します。
割物には菊の花が星が火花の尾を引いたようなデザインの「菊」、ぽか物にはハチが飛び回るように不規則に回転する「蜂」といった特徴的なデザインがあり、観客の目を楽しませるために花火師たちの手によってデザインも年々進化しています。
さいごに
夏の風物詩として愛される花火には、深い歴史がありました。用途もデザインも変えながら、今年も多くの人の目を楽しませてくれるでしょう。ハンドメイドのモチーフとして、夏らしい演出をするだけでなくその背景にも想いを馳せてみてはいかがでしょうか。