縁起のいい定番のモチーフってどんなものがあるの?
日本に古くから伝わる「縁起物」。今回はそんな縁起物や縁起の良いモチーフの中から、以前ご紹介した動物以外のモチーフを紹介したいと思います。
縁起物って?
「縁起」という考え方の大本は仏教にあり、全ての物事は単体で成り立っているのではなく、無数の縁によって生じているといわれています。現代では神社やお寺で参詣人向けに売られている物や正月を祝う飾りといった縁起を祝ったり招くための品物を指していて、運気を上げる作用のあるものとして縁起物は親しまれ、歴史を重ね定着していきました。
縁起のいいモチーフ
■だるま
まずは縁起物の定番のだるま。達磨大師という中国で禅宗を開いたお坊さんがモデルとされている、無病息災、家内安全、商売繁盛、開運出世そして必勝祈願の縁起物です。
何度転んでも起き上がる姿は、9年もの間、壁に向かって坐禅を続けたという伝説が残るほど、強い意志を持っていた達磨大師の挫けない意思が現れているようです。
■七福神
七福神も縁起物の代表格「七福神」は、その名の通り七人の神様それぞれが福を司っており、古くから信仰の対象になっていました。
恵比寿天:商売繁盛
大黒天:五穀豊穣・家産増進・子孫繁栄
毘沙門天:融通招福
弁財天:財運
福禄寿:子孫繁栄・財運・長寿
寿老人:長寿
布袋尊:富貴繁栄
諸説ありますが、神様それぞれのルーツは日本だけでなく、インドや中国にもあるといわれています。それぞれの国での信仰対象を組み合わせた民間信仰で、江戸時代には芸術のモチーフにもよく使われました。
■宝船
七福神とセットで描かれることが多い宝船は、穢れを乗せて清き水に流すという考え方が由来。「悪いものを流す」ことからやがて「金銀財宝のような素晴らしいものを運んできて欲しい」に変わっていき宝船の原型になっていったそう。正月2日の晩、枕の下に「なかきよのとをのねぶりのみなめざめなみのりぶねのおとのよきかな」という回文歌を敷いて寝ると吉夢を見ることが出来る、なんて言い伝えも。因みに悪い夢を見てしまった場合は、翌朝これを川に流すそうです。
■鰹節
「鰹夫婦節(かつおぶし)」と当て字が出来ることから、夫婦円満の縁起物として結婚式の引き出物の定番の縁起物、鰹節。一方で「勝男武士」とも当て字がされ子どもの健康や成長、勝負運アップのモチーフともされています。最近では性別関係なく「勝つ男」として鰹自体も勝負運アップの縁起のいい食べ物として親しまれています。
■栗
おせち料理に欠かせない栗きんとんは、漢字で書くと「栗金団」となることやきれいな黄金色をしていることから金運アップの縁起物といわれています。栗自体も縁起がいいものとされていて、栗は収穫までの時間が長いことからその実には不老長寿の効果や、実を覆うイガは魔除けの意味があるともいわれていました。かの有名な戦国武将武田信玄は大きな場面で本領発揮出来るという縁起を担ぐ「勝ち栗」として、必ず戦の前に栗を食べていたそうです。
■蓮根
真っすぐ穴の開いた蓮根は、「見通しが良い」と明るい未来を連想させる縁起のいい食べ物。1株からたくさん収穫が出来る植物としての特徴から子孫繁栄や、茎にしっかりとした節目があることから「節目を無事乗り越えられるように」といったゲン担ぎの食材ともいわれています。
さいごに
定番の縁起物を中心にご紹介させていただきました。なんとなく縁起のいいものといわれているものも、改めてその由来やルーツを知ることで得られるインスピレーションもあるのではないかと思います。モチーフを考える方法のひとつとしてお役に立てたら幸いです。