ハンドメイドモチーフと宮沢賢治の世界
詩人であり童話作家である宮沢賢治の父、政次郎を主人公として描いた小説「銀河鉄道の父」が映画作品として2023年5月5日全国ロードショーとなりました。
今回はその息子であり、ハンドメイド作品のモチーフとしても人気を誇る宮沢賢治が綴った物語について触れていきたいと思います。
宮沢賢治とハンドメイドモチーフ宮沢賢治は現在の岩手県花巻市に生まれ、作中にも登場する豊かな自然の中で育ちました。
彼の作品には山や森の植物、宇宙、動物、鉱物といった生まれ育った自然によるものが多く登場し、作品の持つ独特の世界観、物語性と相まってハンドメイドのモチーフとしてもとても魅力的。
中でも特に人気のある、思わずハンドメイドのモチーフにしたくなるような作品を5つ、紹介いたします。
どれも青空文庫から読むことが出来るので、よかったら読んでみていただければと思います。
銀河鉄道の夜
宮沢賢治の作品の中でも随一の人気を誇る「銀河鉄道の夜」。
ジョバンニとカムパネルラというふたりの少年が宇宙を駆ける銀河鉄道で様々な人に出会う物語です。
SLなどの列車と星空のシーンを連想しがちですが、作品の冒頭はふたりが暮らす街や学校、ジョバンニがアルバイトをしている活版印刷所、地域のお祭りなど様々なシーンが登場します。
銀河鉄道に乗り込んだ後の場面でも、星空だけでなく輝く大きな十字架やりんだう(リンドウ)の花も象徴的なモチーフが作品を彩ります。

注文の多い料理店
ふたりの男が猟を楽しもうと足を踏み入れたある山で腹を空かせていると、「山猫軒」という不思議なレストランに出会い、迷い込んでしまうお話。
モチーフとしてはその名の通り山猫や山中のレストランが思い浮かびますが、男たちがレストランで受けるお願いの数々も捨てがたいモチーフです。
外すよう指示があったネクタイピン、カフスボタン、眼鏡や財布。体に塗るようにと用意された壺に入ったクリームもセットにすると「注文の追い料理店」を彷彿とさせてくれるでしょう。
やまなし
書き出しの「クラムボンはわらったよ。」という言葉がとても有名な作品。
主人公は川の底に住むカニの兄弟。水面の煌めきとかわいらしい小さなカニの穏やかな情景が印象的で、教科書に掲載されていたこともあるので国語の授業で触れたというかたもいらっしゃるでしょう。
カニの兄弟や父ガニ、川へ弾丸のように飛び込んでくるカワセミ、トブンと落ちてきたやまなしとモチーフも自然のもの。
正体不明の「クラムボン」をモチーフにする、というのも面白いかもしれません。
双子の星
銀河鉄道と同じ文庫に収録されることもある「双子の星」。
星空にある向かい合うようにして立つふたつのお宮に住む、チュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまが主人公です。
チュンセ童子とポウセ童子のふたりや水晶で出来た小さなお宮だけでもファンタジックで愛らしいモチーフですが、作中に登場するケンカをしている大烏と蠍、ふたりを空から海へ落とすクジラのような彗星、海で出会うヒトデやクジラも「双子の星」の物語をイメージさせる登場人物です。
なめとこ山の熊
「やまなし」同様、教科書に掲載されていたものを読まれたかたが多いのではないでしょうか。
山で猟などをして暮らすマタギをしている小十郎という男が主人公。熊打ちの名人である彼が手にかけた熊たちとの不思議な縁の物語です。
タイトルにもあるメインモチーフである熊。
登場する親子の熊は作中で後光がさしているように見えたと表現されており、どこか自然の中にある神聖な雰囲気を纏っています。
もしくは物語のラストシーンで絶命する主人公が見る青い星のような光もモチーフのポイントとして組みこむと更に物語の世界観を演出出来るかと思います。

さいごに
自然とともにある宮沢賢治の物語の世界、いかがでしたか。
宮沢賢治は今回紹介した作品以外にも数多くの有名な作品を描いてきました。
児童文学というものの、大人が読んでも面白く美しい作品たちはきっと作品を制作する際のインスピレーションも刺激してくれるのではないかと思います。

