定番モチーフ“ハート”を深堀り!
目次
人気の定番モチーフであるハートモチーフ。季節を選ばないモチーフではありますが、特にバレンタインの時期は人気が高いイメージがあります。
今回はそんなハートモチーフの持つ意味や歴史について触れていきたいと思います。
ハートモチーフが持つ意味
ハートモチーフの意味といえば、何と言っても「愛」。一番に思い浮かぶイメージでもあるかと思います。そのほかに「心臓」や「感情」、「恋愛成就」など愛する人との幸せの願いを込めたモチーフでもあります。
トランプにおけるハートの由来には諸説あり、一般的なハートモチーフへの印象に近い「純粋な心」を意味しているというもののほかに、僧侶などの聖職者を意味する聖杯に由来するという説があります。
ハート=心臓?
ハートモチーフの持つ意味の中でも「心臓」はハートとイコールのような存在です。
愛情の証として心臓を捧げる描写は中世から描かれるようになりました。当時は心臓が身体の中で感情を司っていると考えられていたことから、多くの絵画や詩、物語の中で心臓を捧げることや心臓を食べる描写が登場します。宗教画においてはその愛情表現が信仰の証として表現される場合もあり、ハートを誰かに捧げる愛情表現を描く方法のひとつとして絵画などでハートモチーフが広く描かれました。
ハートモチーフの起源
ハートモチーフは起源に諸説あり、中でも古代ギリシャにルーツを持つ一説は古く紀元前7世紀頃に遡ります。当時古代ギリシャ人は北アフリカに「キュレネ」という土地を建設しました。キュレネでは現在では絶滅してしまったシルフィウムという植物が採れていたそうです。シルフィウムの種子の形はハートによく似ていると言われており、そのことからハートモチーフの起源であるといわれています。古代ギリシャでは硬貨にシルフィㇺの種子を模したハート型の彫刻が施される程、当時から既に人気のモチーフだったと考えられます。
日本におけるハートモチーフ
日本で冒頭のような意味でハートモチーフを使うようになったのはキリスト教が伝来した16世紀頃で、キリスト教とともに愛情の表現として使われるようになったといわれています。
しかしそれ以前からハートのモチーフは日本にも存在していました。猪目(いのめ)と呼ばれる猪の目をもとにした文様で、神社などで見ることが出来ます。獣の目には魔力が宿っているとされていたことから、猪目の文様は魔除けや招福の護符として縁起のいい文様と考えられていました。もう一説では、お釈迦様が悟りを開いたとされる菩提樹の葉の形がハート型にみえることが寺社で見られるハートモチーフの由来ともいわれています。
さいごに
誰もが知っているモチーフにも歴史あり。作品制作のモチーフへの理解を深めるとともに、神社などを訪れた際にぜひ日本で古くから親しまれてきたハートモチーフの猪目を探してみてはいかがでしょうか。