【エジプト人、めっちゃ良い人たち!!】
【エジプト人、めっちゃ良い人たち!!】
エジプトといえばピラミッドやスフィンクス、王墓など沢山の遺物に溢れた国際的な観光国家だ。
そんなエジプトへは行く前からとある噂を聞かされていた。
「客引きがめちゃくちゃうっとうしい」
という噂である。
話によると、うっとうしいだけでなく観光客を狙ったぼったくりツアーなんかも沢山あるそうな。
観光が一大産業となっている国において、客引きのしつこさや詐欺めいたツアーへの勧誘はよくあること。
特にエジプトがそんな嫌な噂をされるのは、逆にいえばそれほど世界中の人々が行きたがる価値ある国という証拠だろう。
今回は、私がエジプトで出会った人々のエピソードを紹介したい。
カフェの男性
エジプト カイロに降り立ったとき、私はその日の宿すら決めていなかった。
コーヒーでも飲みながらスマホで宿を探そうとカフェのテーブルに座ると、1人の男性が声をかけてきた。
「よう、どこから来たんだ?」
これが噂の客引きか!!
「フランスから来たけど、日本人だよ」と答えつつ、私はこの男性をかなり警戒していた。
ツアーの勧誘か?宿の紹介か?何かを売りつけるのか?どんな手でもかかってこい!!
そう決めていた私に対して、男性は
「どこに行きたいんだ」
と聞いてくる。
「えーっと…」特に行く場所は決めていなかったが、話し始めた私に対して男性は細かくいろいろなアドバイスをしてくれた。
たとえツアーの勧誘であろうと、情報を教えてくれるのはありがたい。
ついにノートにメモをとり始めた私をよそに男性は喋り続け、最終的に
「よし、そんじゃエジプトを楽しんでくれな!」
と、立ち去ろうとした!
彼は客引きでも何でもなく、ただただ近くに座った観光客に、詳しく国の事情を教えてくれた親切な人だったのだ!!
私「ありがとう!!」
私は警戒しながら話を聞いてたことを恥ずかしく思い、彼と一緒に写真を撮った。
聞きかじった噂を元に人を判断してはいけない。

ある・みる コラム_タカタナカ 2211 ①_①
客引きの男性
めったにツアーに参加しない私だが、エジプトではツアーに参加した。
ツアーといっても私と観光客のもう1家族に案内人がつくだけで、移動のチケットなどは指定されたものを自分で手配するという、めちゃくちゃローカルなものである。
そうなると私に課せられたミッションは、ATMで電車のチケット代を下ろし、駅の窓口でチケットを買うところからだ。
翌日から始まるツアー参加のため、もう暗くなってきた街でATMを探さねば。
急がないとチケット窓口が閉まってしまう。
そんな時に声をかけてきたのが
「お兄さん、お店探してる?」
思いっきり客引きのにいちゃんだ。
しかも彼はめちゃくちゃアダルトな店の紹介をしてくる。
急いで歩く私のどこを見てチャンスを感じたのだろうか。
私「それどころじゃない。急いでATMを見つけて、チケットを買わなきゃいけないんだ」
そう伝えると
「ATM?こっちだよついてきな!」
先導してくれるが、これはめちゃくちゃ怖い。
そもそも海外には日本よりも断然ATMが少ない。中に高額な金銭が入っている箱をそんじょそこらに置いておけないからだ。
その箱からお金を引き出す瞬間に立ち会われると思うと何をされるか分からない。
しかし時間もないので、彼について行くことにした。
結果、彼はただATMまで案内した上に周囲を警戒してくれ、なおかつ駅のチケット窓口までも連れて行ってくれた!!
私は感謝を形で示そうと
「どこかにビールを売ってる店はない?お礼におごるよ!」
と酒屋に連れて行ってもらいビールをおごったのだが、エジプトはお酒の飲み歩きが禁止らしい。
当たり前のように道のど真ん中でビールを飲み始めた私のことを「ジャパニーズ悪い男」と認識した彼は、友人たちに私を紹介してくれ、晩ご飯まで一緒に食べることになった。
帰国した今でも、彼からは突然テレビ電話がかかってくる。

ある・みる コラム_タカタナカ 2211 ①_②
ドミトリーのスタッフ ノラ
ノラは私がカイロに滞在している間、ずっと泊まっていたドミトリーのスタッフだ。
婚約者が日本人だそうで、彼女は日本のことが大好き。
日本語がとても上手で気さくな女性だ。
そこそこ長い期間カイロにいた私は、宿に帰ってから眠るまでの間を彼女と話しながら過ごすのが日課になっていた。
(そういえば彼女に休日はあったのだろうか…)
ドミトリーには日々いろいろな客が来るので、他のお客さんも混ざりながらの会話は刺激をもらうことが沢山あり、とても楽しかったことを覚えている。
だからこそドミトリーを去る日はとても悲しかった。
「日本に来たら連絡してね!」
などと言いつつ、他のお客にも見送られ私は旅立った。
ツアーに参加して、そのまま別の街へと移動する予定だったのだ。
夜行列車で朝方カイロには戻ってくるものの、宿に戻ることはないだろう。
そう思っていたのだが…
夜行列車がカイロに到着したのはなんと深夜2時!!
全然朝じゃない!!
当然他の列車も動いておらず、駅からは締め出された。
全財産が詰まったリュックを背負いながら深夜のカイロに立つ恐怖といったら、ATMの比ではない。
私はできる限り明るい道を歩き、一縷の望みをかけて宿に戻ることにした。
到着するも、扉には鍵がかかっている。
当然だ。予約もしていないし、スタッフの誰かが起きているかも分からない。
しかし頼るしかない。
ドンドンドン!
ドアを叩いてみたが、内側の人間からしてもこれは怖いだろう。
しかしドアの向こう側から声がした!!
ノラ「だれ?満室です帰ってください!」
私「ノラ!タカだよ中に入れてくれ!」
ノラ「ええ!?」
ドアを開けたノラはお茶を入れてくれて、一部始終を聞いて笑った。
ノラ「バレたら怒られるから、ここで寝てね」
ロビーのソファで朝まで過ごさせてくれたノラがいなければ、私は今も日本に帰れていないかもしれない。
彼女の優しさには心の底から感謝したい。

ある・みる コラム_タカタナカ 2211 ①_③
まとめ
長くなったが、この記事で何を伝えたかったかというと「エジプト人、めっちゃ良い人たち!!」ということだ。
エジプトは観光大国ということで、客引きの悪質さやその治安の悪さがたまに取り沙汰される。しかしそれはごく一部のこと。
そもそも治安自体もアフリカ全体で見れば普通、というよりむしろ良い方に思える。
実際に中心地であるカイロで過ごした私は、こんなにも沢山の人の優しさに触れることになった。
思い返して後悔するのは、優しさに気づくまでの警戒していた時間に、もっと沢山の話ができたのではないかということ。
他から得た情報に惑わされず、自分の心でしっかりその人を見極めることが大切だ。
もちろん身を守るために常に警戒心を持つことは必要。
しかし先入観を捨てた時にこそ、世界の本当の形が見えてくるのかもしれない。
タカタナカ